未完成

 

 


現在売上が10億円の会社が、5年後に20億円という「目標A」に到達する最短プロセスが「戦略a」です。これが明示されていない会社は、社員が個々のやり方で目の前の目標を追いかけることになり、「b」のように遠回りをしたり、「c」のようにいつまでも目標に近づけないという状況に陥ってしまいます。思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 社長やリーダーは、この「戦略」を実行できるよう会社、部門を運営=マネジメントしていきます。現場の社員に動いてもらわなければならないので、「戦略」の内容をきちんと文章化して全社員に示します。「戦略」についてPDCAがまわっているか、チェックをするのもリーダーの役割です。「戦略」に関する考え方や実行手順はのちほど詳しくご説明します。

 

〈3〉「人材育成計画」を盛り込む

 

「経営計画」を作成している会社で、「人材育成の計画」まで盛り込んでいるところはわずかです。

 

 しかし、会社を成長させたいのであれば、その成長に合わせて人材も成長させる必要があります。

 

 そのため、人材をどのように成長させるかという「人材育成計画」も、必ず「経営計画」に入れるべき内容です。

 

 次ページの「目標と戦略の関係A」をご覧ください。

 

「目標A」の場合と「目標B」の場合はそのプロセス=「戦略」が変わってきます。それに応じて行うべき内容の違いが「差C」です。これはご理解いただけると思います。

 

 もう一つ、ここでお伝えしておきたいのが、それにともなって人材に求める役割と成長スピードも違ってくるということです。

 

 会社の将来の目標を達成しようと思ったら、「目標」が達成できる「戦略」を明確にして、これを推進、実行し、成果を出せる人材を育てることが必要です。

 

 単純な図ですが、「数値目標」「戦略」「人材育成計画」この三つがなければ計画的に会社の成長を実現することができないとおわかりいただけるのではないでしょうか。

 

02これからは「経営計画」のある会社

 

だけが成長できる

 

●「経営計画」がない会社は存在しない

 

 本書を使って「経営計画」づくりに取り組もうとしている方のなかには、これまで「経営計画」を作成した経験がないという人もいらっしゃるでしょう。

 

 そのような方に特にお伝えしたいことがあります。

 

「経営計画」がなくても「経営計画」に記載すべき内容が存在していない会社は1社もありません。すべての会社が、「経営計画」に盛り込むべきものを、すでに持っています。これは、私の実体験から断言できます。

 

 では、どこにあるのか?

 

 それは、あなたの頭の中です。

 

「経営計画」という形、文章として存在しなくても、その内容は社長の頭の中にしっかりと存在しています。「理念やビジョンなんて考えたことないし、勘と経験だけでやってきたからな……」という社長でも、「ビジョン実現型経営計画」の手順どおりにヒアリングし、思いやアイデアを引き出しながらまとめていくと、実践的な「経営計画」が完成します。

 

 私のヒアリングなしでもこれからお伝えする手順にそって取り組めば、あなたの頭の中が自然と整理され、必要な要素がまとまり、優先順位が明確になって文章化され、「経営計画」としてアウトプットされます。

 

「経営計画」の作成は、決して難しいことではないと気づいていただけたでしょうか?

 

 安心して、取り組んでいきましょう。

 

●なぜ「経営計画」がなくても業績を伸ばせたのか

 

 本書を手にとっていただいた方のなかには、これまで、「経営計画」がなくても業績が伸び、会社も順調に成長してきたという人もいるかもしれません。

 

 このような会社でも、一定規模を越えたら、「経営計画」で会社を運営した方が、はるかに成長が見込めます。

 

「一定規模」の目安は社員数が15人?25人です。

 

 いったんこの規模までは順調に成長したものの、その後の売上や収益が上がったり下がったりする状況が続いている中小企業は少なくありません。

 

 なぜこのようなことになるのでしょうか?

 

 それは、会社の規模が社長の限界を超えたからです。つまり、社長一人が全社員の目標や役割を示し、理解、実行させ、チェックしながら不満を出さずに評価や賃金を決めることができない状態まで会社が成長したということなのです。

 

 会社が順調に成長している証拠ですから、決して悲観することではありません。

 

 あなたの会社は、仕組みで会社を動かしていく規模、レベルになったのです。そして、ここで必要になってくるのが「ビジョン実現型経営計画」です。

 

03「経営計画」を作成・運用すべき

 

三つの理由

 

●〈理由1〉社長と幹部の歩みを一つにできる

 

 あらためて、なぜ中小企業でも「経営計画」を作成・運用する必要があるのか、その理由を確認しておきましょう。まずは、中小企業の社長の悲痛な叫びをご紹介しましょう。

 

「なぜ、うちの幹部はわかってくれないんだ!」

 

「指示しているのにリーダーがまったく動かない」

 

「どうして研修で学んだはずなのに会社で実践しないんだ? あんなに高いカネを払ったのにぜんぶ無駄になってしまった」

 

 あなたも同じようなご経験があるのではないでしょうか。

 

 本章の冒頭で述べたように会社を成長させようと試行錯誤している社長は非常に勉強熱心です。さまざまな方法でいろいろなルートから情報収集を行っています。

 

 一方、中小企業の幹部、リーダーはどうかというと、熱心に寝る間も惜しんで勉強し、自ら外部の研修や異業種交流会に行って情報を仕入れている――そのような人にお目にかかることはまずありません。

 

 この社長と幹部の圧倒的な勉強量の差が、何をやるにしても社長の意図が伝わらず、描いているように幹部が行動してくれない最大の要因です。

 

 しかし、心配する必要はありません。本書でご紹介する「ビジョン実現型経営計画」は、こうした社長と幹部の意識の差を埋め、会社の成長のために歩みを一つにする非常に有効な仕組みだからです。

 

●〈理由2〉社長が覚悟を決められる

 

 詳細は後ほどご紹介しますが、「経営計画」は幹部やリーダーと一緒に作成します。また、完成後は社員全員の前で発表します。発表会は、社長の思いと数年後の会社の姿を、数値も含めて「これを絶対にやり遂げるぞ」と幹部や社員全員へ宣言する場です。

 

 社長はいわば、「経営計画」を通じて、自分の意思と覚悟を社員全員へ伝えるのです。これによって、絶対にやり抜かなければならない、達成できなければ社員たちに顔向けできない、と自らを背水の陣に追い込むことができます。

 

 中小企業にとって、このように社長が覚悟を決めることの効果は非常に大きなものがあります。

 

 なぜなら中小企業の業績は99%社長の力で決まるからです。社長が将来の目標を明確にし、絶対に達成するという意思を固めなければ達成できません。そしてこの覚悟を最後まで貫き通すことが実践の継続につながります。

 

 中小企業が伸び悩む大きな原因の一つに、決めたことを成果が出るまで継続できない点が挙げられます。これは多くの中小企業の弱点でもあります。自分の会社をこんな会社にしたいという明確なビジョンとそれを最後までやり遂げる強い覚悟をもって、この先を読み進めてください。

 

●〈理由3〉まわりからの支持が得られる

 

 会社が存続するためには何が必要でしょうか?

 

「社長のカリスマ性」

 

「優秀なリーダーの存在」

 

「強い営業力」

 

「付加価値の高い商品」

 

「効率的な組織運営力」

 

 きっといろいろな答えが出てくると思います。どれも間違いではありません。ここに挙がったもので会社が存続することは短期的には¥\分可能でしょう。

 

 では長期的に♂社が存続するために必要なものは何でしょうか?

 

 この答えが、実は私が本書でみなさんにいちばん伝えたいことであり、実践していただきたいことなのです。

 

 それは、「まわりから会社の存在が認められていること」です。

 

 ここでいう「まわり」とは、お客様、取引先、その他協力会社や金融機関など会社とかかわる人すべてです。このような人たちから支持を集め、社会からその存在を認められている、その価値を認められている会社でなければ、30年、50年、100年という長期にわたって存続していくことは難しいでしょう。このように会社の存在をまわりに認めてもらいながら会社の付加価値を上げていくために必要なもの、それが「経営計画」です。

 

「ビジョン実現型経営計画」は、社会からの支持をどんどん広げ、強固なものとし、付加価値を上げている会社が実際に実践している「経営計画」の作成手順と実践方法、およびその成果の導き方を具体的にまとめたものです。

 

 本書の構成にそって「経営計画」を作成し、社員に浸透させ、これにそって実行してもらうことによって、会社の「理念」や考え方、こだわり、価値がまわりに知られていきます。そこに共感したお客様や取引先があなたの会社を支持し、熱狂的なファンとなっていきます。

 

 このファン層がどんどん広がることによって、会社の認知度と信頼度が高まり、社会で認められる存在となり、会社の付加価値が向上していくのです。